触れ合うことの重要性
ある保育園の協力を得て、スキンシップの効果を調べた人の経験談を読みました。
まず、普段からすぐに友達と喧嘩をする、かんしゃくを起こしやすい、
注意されることが多いなどの行動がよく見られる園児6人を対象児童として選び、
3人ずつA・Bグループに分けました。
Aグループでは、友達同士で手をつないで輪になって踊ったり、
補助員の人が子どもたちの肩や手によく触れるような遊びを取り入れました。
それとは反対に、Bグループではいつもと同じように遊びました。
これを週に1回3ヵ月間続けたところ、特にスキンシップを増やしたAグループでは、
みるみるうちに望ましくない行動が減っていったようです。
また、0~5歳の子どもを持つ母親120人に、子どもとのスキンシップ量と、
子どもの性格について尋ねた調査でも、
スキンシップが多いほど子どもの情緒が安定しているという結果が出たようです。
スキンシップは子どもの情緒や社会性を養ううえで欠かすことのできない
大切なものなんだと考えました。
信頼と愛情の大切なつながり
最近の研究では、スキンシップをとると人への信頼や愛情を感じるオキシトシンというホルモンが
分泌されることがわかってきたようです。
このオキシトシンというものは、母親が出産をするときや、
母乳を出すときに分泌されるものとして昔からよく知られていますが、
最近になって信頼や愛情に基づいた絆が結ばれるときに脳の中で伝達物質として
働いていることがわかってきたのです。
人間の感情は2種類あって、一つは言葉をベースとした知的な部分からくる感情。
もう一つは体の感覚から上がってくるような感情。
スキンシップも後者に当たります。
子ども時代には二つ目のほうをしっかりと育んでいかなければならないと思います。
体の感覚を伴って湧き上がってくるような感情は、
ちょっとやそっとのことでは崩れない強固なものだと思うからです。
親から十分なスキンシップを図ってもらっている子どもは、
お母さんは自分のことを愛してくれているという体の感覚を伴った感情がベースにあるので、
厳しく叱られたりすることがあっても親の愛情そのものを疑ったりはしません。
親にやさしくスキンシップされたときの感情が心の土台となって、
優しい心というものが育っていくんだと思います。
わたしは過度なスキンシップは子どもを親に依存させてしまう
原因になるのではないかと思っていたのですが、違うようですね。
母親と十分にスキンシップをして育った子どもは甘えたいという欲求も満たされて、
自分は愛されているんだという自信が持てるので、逆に親に依存しないで自立していけるのです。
このように、幼少期の頃の経験や感情は、子どもの成長にとって
とても大切なものになってくるんだということを改めて知ることができました。