妊娠中の出血
妊娠初期は流産のほかに胞状奇胎
(胎盤などのもとになる細胞が水泡状となって異常増殖すること)、
子宮外妊娠の中絶で、月経用の出血がみられます。
妊娠後期には前置胎盤、常位胎盤早期剥離、
子宮破裂、早産によって出血がみられます。
全期間を通して出血がみられることは、
妊娠を継続していくことや赤ちゃんへの影響など、
重大な事態の発生が考えられますので、直ちに受診することが必要になります。
ここでは、妊娠中の出血を起こす病気について何個か説明していきます。
①子宮外妊娠
受精卵が子宮外に着床してしまった場合を子宮外妊娠といい、
全妊娠の0.5~1.0%にみられます。
子宮外妊娠の分類としては、卵巣妊娠や卵管妊娠などの種類が挙げられます。
子宮外妊娠は、そのうち90%が卵管妊娠ですので、
卵管妊娠の症状を中心に述べます。
卵管妊娠によって卵管が破裂した際は、
下腹部痛や腹腔内出血による顔面蒼白や冷感、めまい、血圧低下、
悪心嘔吐などの失血によるショック症状などが出現します。
これらは大変危険な症状で、手当が遅れると死亡する確率が大きく上がってしまいます。
また、腹腔内出血によって血液が溜まり、直腸を圧迫するため便意を訴える場合も多いです。
さらに性器より暗赤色の出血が持続して生じます。
治療方法は、手術(卵管摘出術)や輸液、輸血、血圧を上げる薬の投与などがあります、
②前置胎盤
胎盤の付着部が子宮下部にあるもので、全妊娠の5%以下にみられ、
赤ちゃんの死亡率は20~30%にも及びます。
妊娠24週以降に、無痛性の出血を繰り返したり、
妊娠36週になっても赤ちゃん頭が降りてこないなどの症状がみとめられます。
治療は、妊娠週数が早ければ安静を保つ、
薬物療法(止血薬など)を行うなどで妊娠期間の延長をはかります。
止血が難しい場合は、帝王切開術を施行し母親と赤ちゃんの安全をはかります。
また、時に輸液や輸血、ショック症状に対する治療などを行います。