産後うつ病は、重症度の点からは、
マタニティブルーズと産褥精神病の間に位置しています。
妊娠中に比べて産後にうつになる危険率は22倍で、
精神疾患になる率も16倍と高いのが現状です。
●産後うつ病の主な症状
①抑うつ(気持ちが落ち込み行動や感情などに影響が出ている状態)気分、
②趣味など、日常の満足できる活動においての興味がなくなる、
③集中力が低下したり決断ができなくなったりする、
④イライラして落ち着かなく、物わかりが悪くなる、
⑤全身がだるくなる、
⑥不眠症などの睡眠障害、
⑦食欲障害、
⑧自殺念慮(自殺したいという思いがあること、また自殺について思いを巡らせること)が起こる、
⑨自分を責めたり、自分に価値がないものと思い込む(特に子どもに対する育児や愛情に自信をなくす)、
⑩過度に不安がる、などがあります。
これらの症状が少なくとも4項目以上存在している際は、
産後うつになっているか、なる危険性が高いというわけです。
しかし、典型的なうつ病とは異なり、
体重減少や授乳のための睡眠不足など産後の生理的変化に伴う症状に関しては、
過大に評価する必要はありません。
産後うつは、時として自殺念慮や妄想を抱くことがあります。
また、症状は日によって、あるいは1日の中でも変わりやすいです。
うつの症状が悪化すると精神病像を伴ううつ病や、
産褥精神病に移行する可能性もあります。
●産後うつで大切なのは、重要な決断はひとりでしないことです。
子どもに対する否定的な感情を抱いたり、出産後の家族内の人間関係の変化に伴って、
従来存在していた家族内の問題が産後に露わになったりすることがあります。
重大な決断については、母親の心の状態が落ち着くまでは
極力先延ばしにすることが賢明であると言えます。
また、産後うつの治療としては、一般的なうつ病の治療法の薬物療法と基本的には変わりません。
とくに、早期に産後うつと診断されて適切な治療がされた場合には、
良好な経過をたどりやすいです。